マーケティングを行う際に
「ターゲットを絞りましょう」
「ターゲティングを行うために、ペルソナ設定をしましょう」
と言った話が、会議や打ち合わせで出てくる事はありませんか?
ペルソナ設定って、そんなに大事なの?と思われる方も多いですが、古くからマーケティングの際には、必ずと言って良いほど、ペルソナを使ったマーケティングは実用化されています。
店舗や通販だけでなく、インターネットも登場しWEBマーケティングまで多岐に渡った事でマーケティング戦略も多様化する中で「ペルソナマーケティングは古い」という声も聞かれますが、全く古いマーケティング手法ではなく、ターゲットをさらに明確にし、的確に洗い出すためには、有効な手段です。
今回、ペルソナを活用したマーケティングについて、私自身が参考にした本や、ペルソナマーケティングが上手くいった事例を紹介しながら、ペルソナマーケティングの有効性を見ていきたいと思います。
ペルソナとは何??
まずはじめに、ペルソナとは何??という事からおさらいですが、ペルソナとは
「商品やサービスを使うユーザー像」
の事です。
古くは「架空の人物像」という事で訳されたこともあったり、心理学者のユングが表面的な人格として紹介したりしています。
ユーザー像というように、実際に存在する人物像である必要があり、細かな設定を行いますので、
様々な項目を定めて、実在する人物かのように設定していきます。
ペルソナとターゲットの違い
人物像の設定というところから、似たようなマーケティング用語として「ターゲット設定」や「ターゲティング」という言葉も使われますが、ターゲットはざっくりと設定をするのに対し、ペルソナは上記の通り細かい設定をしていく事になりますので、混同せず分けて考えたほうが良いでしょう。
例えば、フェイスブック広告のターゲティングについては、
画像の通り、
地域
・この地域に住んでいる人
・最近この地域にいた人
・この地域を旅行中の人
年齢
・13歳から65歳以上まで
性別
・すべて、男性、女性
言語
詳細のターゲット
・利用者層、趣味、関心、行動
つながり
を設定出来るようになっています。
一方でペルソナを設定する場合は、
タナカサチヨ
- 年齢 40歳
- 性別 女性
- 体型 中肉の身長160センチ前後
- 顔立ち セミロングの今どきの顔、年齢よりも若く見える
- コンプレックス 下腹部と下半身の脂肪が落ちない
- 出身 熊本
- 居住地 大阪
- 職業 お菓子工場
- 役職 パート
- 年収 120万ほど
- 趣味 フィットネスジム通い
- 特技 裁縫
- 家族構成 小学生4年生、中学生3年生、旦那(年上)
- 価値観 曲がった事は嫌い、まっすぐな性格
- ライフスタイル、休日の過ごし方 家族と予定を共にしたい、ショッピング好き、予定がなければ遅くまで寝て過ごす
上記のように細かい設定をするのが、ペルソナになりますので、ターゲットにした人よりも居住地、年齢、趣味などが絞り込み出来るのが特徴です。
ペルソナマーケティングの必要性
上記のように、なぜペルソナマーケティングが必要なのか?ですが、「商品やサービスを使うユーザーが明確にする事で、より精度の高いマーケティング戦略を立てる事が出来る」のが一番の理由です。
上記のタナカサチヨさんを例に、例えばランニングシューズをマーケティングする場合であれば、
「予定がなければ遅くまで寝る」
という主婦だという点にフォーカスすれば「楽をして痩せたい」というような側面にフォーカスし、履くだけで痩せるといった打ち出し方を考える事が出来るかもしれませんし、下半身のお肉が気になるという事であれば、フィットネスに行く際に下半身のラインが見えないパンツスタイルに合うシューズといった打ち出し方を考える事が出来るかも知れません。
顧客像が明確なだけに、ターゲットを絞り込みし、マーケティングの切り口をプロモーションに応じて変えていけるのが、ペルソナマーケティングを行う最大のメリットだと言えます。
ペルソナマーケティングのデメリット
とは言え、ペルソナマーケティングは完璧か?と言えば、そうではなくメリットもあればデメリットもあるもので、大きなデメリットで言えば「先入観や思い込みが邪魔をする」という点が挙げられます。
タナカサチヨさんを設定する際に、私自身の思い込みが入っている事もあり、また記憶にいる誰かを想像しながら設定してしまう事で、市場のニーズとズレた顧客像を作ってしまう事もあり得ます。
ペルソナマーケティングに使う顧客像は、あくまでマーケティングのために行うもので、個人の価値観で創られるものであってはいけませんので、SNSやWEBサイトの口コミやアンケート集計などを行い、人物像を明確にしていく事が重要になります。
そのため、あまり拡げすぎて顧客像がボケてしまわないように、複数の情報を精査し、必要なものだけに絞り込んでいく作業も必要になってきます。
ペルソナマーケティングは共有し進化させる
ペルソナ設定は、チームで共有する事が可能で、お互い同じイメージを持ってプロモーションを作っていく事で、精度が高まっていきますが、一度設定したペルソナはどんどん進化させていく事も重要です。
時代背景や新技術やトレンドに合わせて、ペルソナを変えていく事で、新たな側面も見えてきますので、新しい切り口でマーケティングを捉えていきましょう。
ペルソナマーケティングのために参考にした本は?
今の時代、ペルソナマーケティングを紹介した書籍はたくさん販売されていますが、私自身がペルソナマーケティングを取り入れたのが5年以上前になりますので、2014年前後になります。
この時に参考にした書籍が
「WEBサイト設計のためのペルソナ手法の教科書」
という本で、2008年に販売されたものですが、今は本を読んで学ばなくても、WEBサイトでペルソナマーケティングのやり方を解説していますし、便利な世の中になっていますので・・
どの本を読めば良いか分からない・・
という方の場合は、大企業などが実際に行ったペルソナマーケティングの実例を参考にしながら、ご自身のビジネスに合わせたペルソナ設定をされる事をオススメします。
ペルソナマーケティングを大企業が行った実例
では、実際に企業でペルソナマーケティングがハマり、大幅に売上が伸びた実例をいくつかご紹介したいと思います。
その1 秋野つゆを満足させること
食べるスープをコンセプトにした外食チェーン「Soup Stock Tokyo」で実際に行われてるペルソナマーケティングですが、秋野つゆさんという女性が満足するスープを開発せよというのが商品開発、マーケティングとされています。
秋野つゆの設定は、
・年齢 37歳、女性
・都内在住
・独身か共働きで経済的に余裕がある
・都心で働くバリバリのキャリアウーマン
・社交的な性格
・自分の時間を大切にする
・シンプルでセンスの良いものを追求する
・個性的でこだわりがある。
・装飾より機能を好む
・フォアグラよりレバ焼きを頼む
・プールに行ったらいきなりクロールから始める。
という設定になっていて、Soup Stock Tokyoの商品は、秋野さんを満足し、通い続けてくれる商品、店舗づくりになっています。
まず、注目したい点は、秋野さんは
都心のバリバリキャリアウーマン
という点。この点からおしゃれを好み、仕事をバリバリとこなし、部下からも慕われる女性だとイメージ出来ます。
部下とランチに出る事もあるでしょうし、忙しい時はサッと食事を取りたいけど、定食屋とかではなく、オフィスビルのおしゃれなテナントで食事をしたいタイプである事も想像出来るでしょう。
その点から、Soup Stock Tokyoの出店は、オフィスビル、高級住宅街、駅近などに多く出店しOLが目につきやすいところに多く出店をしています。
また、女性が一人でも入りやすい店舗づくりになっていますので、秋野さんのように部下を連れてランチも出来るだけでなく、一人でも利用しやすいがコンセプトにもなっています。
次に注目したい点が
装飾よりも機能面を重視
プールに行く自分の時間を使う
フォアグラよりもレバ焼きを好む
という点ですが、健康志向である事が想像出来ますし、かわいいデコや盛り付けにこだわるよりも、栄養バランスや美味しさを重視する傾向があるように思われます。
しかし、フォアグラのような高級食材でなくても良いが、無添加のものや身体に良いものなら少々値が張るものでも良い傾向が見られるので、価格設定が多少高くても、満足感があれば購入する事が分かりますので、Soup Stock Tokyoは無添加のこだわったスープですが、値段設定は少し高めになっているのが特徴です。
その2 文京区に暮す27歳の女性の家にあるお菓子
次の事例ですが、カルビーのスナック菓子「ジャガビー」に導入したペルソナマーケティングですが、スナック菓子は広く好まれるという中でペルソナマーケティングをする事が前例に無い中で、ジャガビーは20~30代の独身女性をターゲットにしてマーケティングが行われました。
今回行われたペルソナ設定は、
・年齢 27歳
・家族構成 独身女性
・居住地 文京区に暮らしている
・趣味 ヨガとスポーツに凝っている
となっていて、注目はスナック菓子と健康という一見相反するモノになりますが、カルビーはこのペルソナでまず考えたのが
「文京区に住んでいる独身女性の家にあって違和感のないパッケージ」
でした。
また、CMには20~30代の独身女性が好む雑誌「Oggi」で活躍するモデルを多数起用し、従来のマーケティング手法とは違った狙いで展開した事で、一時生産が追いつかず大ヒットの商品となりました。
その3 富士通キッズ 夢をかたちに
次は、企業ブランディングの例になりますが、富士通が「社会全体で子どもを育てる」というコンセプトを掲げ、「未来を担う子ども達に技術の素晴らしさを伝えよう」という事で子供向けのWEBサイトを制作しました。
このWEBサイトを作成するにあたって、富士通では3人のペルソナ設定を行い
- 佐藤美咲ちゃん 小学生 10歳
- 佐藤幸子さん 38歳 美咲ちゃんの保護者
- 松本秀幸先生 32歳 美咲ちゃんの先生
が、WEBサイトを見に来た時に、どう感じるか??やどんな事を知りたいか?を考えたとの事です。
美咲ちゃんの設定として、
- 大手メーカー勤務の父と専業主婦の母、2つ下の妹の4人家族
- 明るく温厚で暮らす人気者
- 中学受験を考えている
- 3歳からピアノを習っている
といった細かい設定も行われ、富士通キッズを隅々まで楽しめるようになっています。
ペルソナマーケティングはもう古い?
このように企業ではペルソナマーケティングを行った上で、顧客分析やブランディングに活かした事例もあるのですが、一方でペルソナマーケティングはもう古いという声もあります。
なぜ古いと言われるのか?私なりの意見ですが
「AIの進化」
がペルソナマーケティングを細かくしなくても良くなった理由の1つでは??と思います。
フェイスブック広告はじめ広告マーケティングを行う場合、AIが広告配信の最適化をどんどんかけていってくれますので、広くターゲティングをした上で、絞り込みをAIがかけていってくれるスタイルで十分にマーケティングが可能になります。
私見ですが、広告マーケティングの場合は、ペルソナマーケティングを使わずAIを活用すれば良いですが、WEBサイトを設計する場合は、ペルソナマーケティングをした方が、どんな情報が欲しいのか?整理しやすいです。
ペルソナマーケティングで顧客像を設定した後は、WEBサイトに落とし込むのにカテゴライズしていく→それぞれのカテゴリーのキーワードを洗い出し→コンテンツの制作と進めていくと、WEB制作がやりやすくなるかと思いますので、取り入れてみてはいかがでしょうか。
また、もっと深くペルソナマーケティングについて学びたいという方や、WEBマーケティング全般に関して学びたい場合は、
→ たった一年で月間100万PVを達成したインターネット集客術
こちらを期間限定で無料公開していますので、合わせて参考にして頂けと良いかと思います。
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